西ヨーロッパ社会の変容 2

十字軍とその影響

 

西ヨーロッパの封建社会は安定・成長時代

三圃制の普及・農業技術改良による農業生産の増大、人口増加→西ヨーロッパ世界の拡大へ向かう

 

セルジューク朝(イェルサレムを支配下)がビザンツ帝国を脅かす→皇帝はローマ教皇ウルバヌス2世に救援要請

クレルモン公会議により第1回十字軍が派遣され、イェルサレム占領→イェルサレム王国の建国(残留戦士に封土)

第2回・第3回十字軍(アイユーブ朝のサラディンに奪われた聖地回復へ)は失敗

第4回十字軍・・・ヴェネツィア商人の要請でコンスタンティノープル占領、ラテン帝国の建国

第7回まで十字軍は行われたが聖地回復はならず

宗教騎士団の活躍→帰国後は護教や辺地開拓に活躍

 

十字軍には参加者それぞれの動機が

教皇・・・これを機に東西両教会統一を画策→失敗により権威失墜

諸侯・・・領地や戦利品を望む→国王の権威は高まる

イタリア諸都市・・・商業的利益→大いに繁栄、地中海貿易

十字軍をきっかけに西ヨーロッパ中世世界は変容へ

 

商業の発展

 

・余剰生産物の交換で都市・商業が発達

・ムスリムやノルマン人が貨幣経済を広める

・十字軍で交通が発達

→遠隔地貿易(東方貿易・北方貿易)で発達する都市の出現

 

地中海商業圏・・・東方貿易により香辛料・絹織物などの奢侈品(ヴェネツィア・ジェノヴァ・ピサ)

毛織物産業・金融業(ミラノ・フィレンツェ)

北ヨーロッパ商業圏・・・海産物・木材など生活必需品(ハンブルク・リューベックなど北ドイツ諸都市)

毛織物産業(ガン・ブルージュなどフランドル地方)

羊毛輸出(ロンドンの北海貿易)

定期市(シャンパーニュ地方)

 

中世都市の成立

 

司教座都市(司教管轄教会の設置都市)→当初は封建領主の保護→商工業発達により自治権獲得→自治都市の誕生

北イタリア・・・自治都市(コムーネ)

領主などから完全独立、市民自身で市政運営

ロンバルディア同盟(ミラノが中心)を結成

ドイツ諸都市・・・自由都市

諸侯の勢力抑制を望む皇帝より特許状を得て、領主から独立し皇帝直属の都市へ

ハンザ同盟(リューベックが中心)を結成→大きな政治勢力に発展

 

 

都市の自治と市民たち

 

自治都市は周囲を城壁で包囲、封建的束縛からの自由←農奴が流入

ギルド・・・同業組合。自治運営の基礎

当初は商人ギルドが市政独占→同職ギルド(手工業者の組合)が分離、商人ギルドと闘争(ツンフト闘争)

親方がギルドの組合員、厳格な身分制度、ギルド内の自由競争禁止、非組合員の商業活動禁止

→手工業者の地位安定、自由な発展を阻害

ギルドからはフッガー家(皇帝に融資)・メディチ家(一族から教皇輩出)などの富豪も

 

封建社会の衰退

 

1300年頃から、封建社会は衰退へ

・貨幣経済の発展→荘園制度の崩壊

領主・・・農地を農民に貸与→賦役でなく生産物や貨幣で地代を納めさせる

農民・・・市場で生産物販売→地代の残りの貨幣を蓄財

・凶作・飢饉・黒死病・戦乱で農民人口減少→農民確保のため領主は農民の待遇改善→農民の身分束縛が弛緩

→イギリスでは独立自営農民(ヨーマン)の誕生

 

経済困窮の領主が再び農民の身分束縛を強化→農民は抵抗(ジャックリーの乱・ワット=タイラーの乱)

→領主の困窮は深刻化、没落へ

 

市場統一のため、都市市民は中央集権権力の出現を待望→国王が市民と協力して諸侯を抑える

→諸侯は廷臣、領地では単なる地主⇒近代的な中央集権社会の構築

一方で社会不安により不寛容となり、少数派への迫害も激しくなる